30/4/2012

佐渡裕さんユネスコ・コンサートUSTREAM覚え書き その5 本番編

 

3月11日(日)
あの震災から一年。まだまだ復興への道は遠いですが、この日を仲間達と、悩む暇がないほど慌ただしく迎えるのはある意味有り難いことでした。
そして佐渡さんと出会って半年、多くの時間を費やして準備してきたコンサートがついに本番を迎えます!

朝からリハーサル。フランスを代表するオケを中心に豪華メンバーが集まってくれたジャポネード・オーケストラはリハーサルできるのは当日の2時間だけです。
それでもマエストロは手応えを感じられたようで、
「凄いな、リハーサル要らんな、ほんまドリームオーケストラや」
と仰っていたそうです。

一方、舞台裏に関しては中継班の周囲だけでもなかなかにハプニングの連続、以下トラブル特集になってしまいました。

映像が届かない事件
プロジェクタで流す映像がお昼を過ぎても届かなくてなかなかテストができず…動画データをPC再生用にコンバートする必要があったのですが最終的には間に合いました。しかしこれは序の口過ぎてトラブルのうちに入らない程…。

カメラマンが一人足りない事件
高画質で中継できる中央ビデオカメラは完全に固定にしてしまうと司会席を写したりの切り替えができないためオペレーターの手配を頼んでいたのですが、結局来れないことに。
誰もやってくれる人が居ない中、急遽ヨメのわびすけが前日からのリハに引き続きカメラを担当することになりました。XF105にはメモリカードスロットが2基あり、スロットAがいっぱいになったらボタンを押してスロットB切り替える等、必要最低限の操作を覚えて本番に望みます。
普通なら無茶振りに尻込みしそうなところですが、人手不足がよくわかっているので必死に頑張ってくれました。(そしてなぜかズームはボタンより手回しを好むアナログ派…(^^;)

LiveShellがDHCPエラー事件
開演直前、佐渡さんカメラを担当する舞台上のビデアストさんから✕サインが!
LiveShellがDHCPエラーになってしまうとのこと。ファイアーウォール外の2台のうちの1台をWifiステーション化してインターネット共有し、前日のテストではうまくいっていたのですがもう時間がありません。撮影に集中してもらうためLiveShellでのバックアップ放送は早々に諦めました。

そしてそうこうするうちいよいよ開演!


Yutaka Sado 311 UNESCO Concert(当日のコンサートの模様を通しでご覧いただけます)

http://togetter.com/li/295665

昨年のユネスコでのチャリティーコンサートはボランティアスタッフはほとんど聴くことができなかったので、今回はUst中継を担当したおかげで演奏を聴くことができて幸運でした。とはいえゆっくり音楽鑑賞するゆとりはありません。
個人的にはUストとツイッターをしつつ、曲間にアーカイヴを保存する作業がスリルとサスペンスでした。
Ustreamでは生中継を中断することなくアーカイヴを保存できるのですが、録画を停止してタグを付けないと保存ができず、それが済むまで次の録画を開始することもできません。しかもうっかりキャンセルでも押そうものなら!永久に消えてしまうのでアーカイヴ化が一番緊張した作業かも…。

最も起こって欲しくないトラブルはもちろん中継が止まってしまうことです。これはユネスコの光回線と、CPUの使用率が常に30%代で余裕のあったCore i7のMacBook Proのおかげで大丈夫でした。
あとは目の前で繰り広げられている素晴らしい演奏をなるべく良い音で中継することがミッションですが、ダイナミックレンジがもの凄く広いクラシックはコンプかけたら台無しなので、どうしても音量が小さくなりがちです。とはいえボレロもあるし歪むのだけは避けたいので難しいですよね。
ところがもっと根本的な問題がまだまだ起きていたのでした…。

全てのビデオカメラでメモリーカードのエラー事件
なんと、ビデオカメラが「CF A(CF B)は修復が必要です 修復しますか?」というアラートをほぼ5分おきに表示して録画が中断するというトラブルが! 近くにアンビエント録音用の超高感度無指向性マイクがあったため話すことができず、わびすけは休憩時間になるまでこのトラブルとひとり戦っていたのでした。
しかも第一部が終了するや、3人とも同じ状況であることが判明!(><;)
録画はされていることが確認できたものの、5分おきに途切れています。おそらくコンパクトフラッシュの速度が追いつかないか相性が悪かったのでしょう…。
Ustream中継には影響がなかったのがせめてもの幸いでした。
ちなみに休憩時間中に僕達が対策を相談していた声もUストでダダ漏れだったようです。これもライブならではの臨場感の一部ということで…(^^;

音声が左右逆だった事件
中継をご覧くださっていた複数の方からのご指摘でステレオの左右が逆になっていることに気づきました。そういうことにならないように会場専属のサウンドエンジニアに配線をチェックしてもらったにもかかわらず……痛恨です。この件では後に各方面から慰めのお言葉をいただきました。
ちなみに撤収のとき件の担当者に左右が逆だったよと言ったら「あ、そう?」で済まされてしまいました。フランス過ぎる…(苦笑)
他にもいろいろな失敗や後悔がありました。*1

終演直後、素晴らしいコンサートの感動と途切れずに中継を終えることができた安堵、そして音楽家の皆様への感謝と改めて音楽が持つ力への畏敬の念に包まれました。この1年様々なチャリティーイベントをお手伝いさせていただきましたが、佐渡さんの復興への想い、祈りに感銘を受け涙が出ました。
と同時に反省点も怒涛のように襲って来ました。

会場に入れたのは約1400名でしたがUstream中継はのべ1万6千人余りの方が視聴してくださいました。日本は日曜の深夜にもかかわらず沢山の方に視ていただけたのはひとえに佐渡さんや辻井さんの人気のおかげです。
けれどもテレビ番組と比べれば遥かに少ないですし、素晴らしい演奏内容に対して納得していただける数字だったかどうか…。もっと巧い方が中継を担当していればより良い結果が得られたかもしれないという気持ちは正直なところ常にありました。そんな中@sadofcさんのツイートには励まされました。

いろいろありましたが最も嬉しかったのは、来場された誰もがこのコンサートを喜んでくださったことはもちろんですが、Ustreamでリアルタイムに視聴してくださった方々と感動を共有できたことです。

「会場に行けなくても、つながれた気がした。たくさん人と分かち合えた気がした。ありがとう。そして忘れない。」

という声を聞いて、苦労も多かったですがやって良かったと思いました。
また、普段コンサートに足を運ぶことが難しい方も大勢いらっしゃるので、そういう方にも届いていたら本当に嬉しいです。

中継に関するまとめ

良かった点

  • 古川さんにご協力いただけたこと
  • 配信が途切れなかったこと
    • ユネスコのネットワーク管理者にご協力いただけた
    • ネットの回線速度が速かった
    • 使用したPCが高速で安定していた
  • 絵の入り口であるビデオカメラ(Canon XF105)と音の入り口であるマイク(SCHOEPS)が高性能でビデオコンバータADVC-HD50との相性も良かったこと

反省点

  • いくつかやらかしたミス
  • ステレオが左右逆だった
  • Twitterによるご指摘やご要望を追いきれていなかった*2
  • 2カメを充分活かせなかった
  • 記録メディアのエラーが頻発した
  • 海外へのリーチが不充分

改善策

  • 事前のチェックを更に徹底する
  • 暗がりでも左右が判別できるヘッドフォンを使用する
  • Ustream Producerの『オートライブ』をオフにして配信中でも設定を確認する
  • Twitter専任者は必須
  • ケーブルを長く延ばせるHD-SDI機器または複数HDV入力を可能にする機材の導入*3
  • 記録メディアは高価でも高性能のものを使う
  • 日仏以外にもリーチするための宣伝を工夫する

終了後、実は反省でけっこう落ち込んでいたので、古川さんにいただいた感想にとても励まされ救われました。

持込んだいくつかの機材がお役に立つことが出来て良かったです。実質UST中継が初体験であれだけの成果を挙げられたのは快挙です。会場のPAマスターからLRが逆に送出されていたのは、多くの方から指摘されていましたが、限られた現場の機材でバランス出力の音声を一度仏キヤノンからお借りしたF105に入力し、高精細映像と音声をミックスしてHDMI経由で中継マスターにしたのは良策だったと思います。そのせいで、テラスに配備したビデオカメラの音声入力を差し替えるということができなかったのでしょう。多くの人がスピーカーやヘッドフォンを左右逆にすることで対応されたのは、それぞれが出来る方法で対処するという、平野さんの説くソーシャルメディアの極意ですからね
そうそう、初代のiPod(くるくる廻すダイヤルのついたヤツ)は実はヘッドフォン音声出力の左右が逆だった、なんて事例もありますので….ドンマイ!

古川さんが支えてくださったおかげで実現できたUstream中継ですので、いくら感謝してもしきれません。本当にどうも有り難うございました。

終了後、佐渡さんにハグしていただきました!
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昨年9月に初めてお目にかかって以来、佐渡さんのとても温かい人柄に惹かれて何とかお役に立ちたいとボランティアスタッフ一同頑張ってきましたが、実際には佐渡さんに助けられて初心に帰り新たに頑張っていくエネルギーを頂きました。この日も佐渡さんはご多忙にもかかわらず遅くまで残ってボランティアスタッフを労ってくださったのです。
寄付金も2011年6月23日の久石譲さんのコンサートの記録を上回りJAPONAIDEがお手伝いさせていただいたイベントの歴代トップになりました。
改めまして佐渡裕さん、辻井伸行さん、周防亮介さん、スーパーキッズ・オーケストラの皆さんを始め、ご参加くださった全ての音楽家の皆様、そしてこのコンサートのためにご尽力くださった全ての関係者の皆様、来場してくださったお客様、Ustreamをご覧くださった皆様、ボランティアスタッフの皆様に心から御礼申し上げます。*4 どうも有り難うございました。
一生忘れられないコンサートのお手伝いができて光栄でした。

 
 


1) この他にも調整したはずのカラーバランスが合っていなかったり、何故かキャストの音声が割り当てられていなかったり、寄付金使途報告でうっかりUストにビデオを流してしまい急に音量が大きくなったり、PAのトラブル?でラインの音が数秒途切れたり等々、いろいろありました。orz

2) サブ画面を右下ではなく右上にしてほしいというご要望を見逃していました。
実は人手不足でツイッター専任者が居なかったため、自分を含め3名でツイートしていたもののタイムラインを充分追えていませんでした。
Ustream Producerでサブ画面を上にするとなぜか後ろのメイン画面にパースが付いてしまうという余計な演出?があり、そのためサブ画面は常に下にしていたのですが、確かにチェロなど右側の人達が隠れてしまうことは気になっていました。ご要望に気づいていればと悔やまれます。
音声の左右逆に関しては気づくのが遅れて第二部が始まってしまっていたので為す術がありませんでした。暗がりで左右が判別できないインナーイヤー型イヤホンでモニターしていたことも敗因でした。
ああ、言い訳です…orz

3) またこういう機会があるかどうかは判りませんが、次回はカメラ5台でやりたい!という撮影班の野望もあり、古川さんに教えていただいたATEM 1 M/E Production Switcher等のBlackmagic Design製品が気になっています。
チキンなために挑戦しなかったマルチビットレート配信も条件が許せば…(なんて、欲張りすぎですね)

4) 個人的には昔はビデオの配線すら出来なかったというのに「HDMIエクステンダー」とか「アナログコンバーター」と呪文を唱えるだけで文字通り手足となってせっせと出してきて繋いでくれて、カメラも必死に頑張ってくれたヨメのわびすけにもとても感謝しています。ありがとう!