29/6/2017

バリアフリー化は障害者の為ならず

ここで論じたいのは奄美空港でタラップを這って登った人を巡る対応の是非についてではありません。
車イスで飛行機に乗る機会が多い身としては、あの話で思うところはもちろんあります。

自分は飛行機に乗るときは2週間くらい前までには必ず連絡しますし、乗り物だけでなくレストランの予約でも車イスであることを伝えるようにしていますが、共感できるかはさておきこの当事者の方が事前連絡を敢えてしなかったことを批判する立場にはないです。
なぜなら、今後もし離島に行かなければならなくなったときに、このような先例のおかげで搭乗を拒否されずに済むという恩恵を受ける可能性があるからです。

この方の場合、事前連絡したら搭乗を拒否されるし、同行者が5人もいるし、いざとなればどうにでも対応出来る経験と自信があったのでしょう。
正直なところ、腕の力でタラップ登れるなんて羨ましい!と思いましたよ。

ただ、考え方や事情は人それぞれで、助けてもらって当たり前なんて思いませんし、やむを得ず混んだ場所に車椅子やベビーカーで出かけなければならないような場合もありますし、場所を取ってしまう分、反比例して肩身の狭い思いをしている小心者もいるということもご理解いただければ幸いです。
誰にも迷惑をかけずに何処にでも行けたら自由が感じられていいでしょうね。

ちなみにエールフランスの国内線にはなるべく乗りたくありませんが、日本の航空会社の対応はANAもJALもいつも素晴らしくてたいへん感謝しております。欲を言えば電話が非常に繋がりにくいことが多いので、フィンランド航空のようにウェブでも車椅子リクエストの手続きをできるようにしていただけるとなお有り難いです。いつも同じ説明を繰り返すだけなので。って書いてみるテスト。

さて本題です。

もうすぐパラリンピックが開かれますので、きっと東京ではバリアフリー化が更に推進されていることでしょう。
もちろん東京だけの話ではなく、近い将来の社会のためにバリアフリー化は非常に重要な意味を持っています。

それは高齢化が進むに従い歩行困難な人が増えていくからでしょうか?
それもありますがそれだけではありません。
ロボットのために、今のうちからバリアフリー化を達成しておくことが重要なのです。

こんなことを書くと何言ってんだと思われるかもしれませんが、与太話にもう少しだけおつきあいください。

周知の問題として日本は今後大幅な人口減が予想されているので、社会を維持していくためには労働の担い手が必要になります。
出生率を上げたり、移民を受け入れたりして人口を増やすような解決策が難しいとなると、ロボット以外に有効な打開策があるでしょうか?
世界に先駆けて、人口を縮小させながらも平和に社会を維持していくことが日本の素晴らしい挑戦になるでしょう。

そしてバリアフリーな場所ではロボットの活用も容易になります。
なぜならロボットにとって、二足歩行は効率的ではないからです。

スティーブ・ジョブズの1995年のインタビューに以下のような話があります。

子供の頃雑誌で
ある記事を読んだんだ
様々な動物の移動効率を
計測したもので
クマやチンパンジー
鳥や魚などが載っていた
1キロあたりの消費カロリーを
ヒトも含めて比較していて
1位を取得したのは
コンドルだった
万物の霊長のはずのヒトは
下から3分の1あたり
だが誰がひらめいたのか
自転車に乗ったヒトも測られた
コンドルなんて蹴散らしてたよ

「人間は道具を作ることによって生まれ持った能力を劇的に増幅できる」
というのがこの逸話の論旨なのですが、漠然と考えていたことの裏付けのようにも感じられました。

つまり来るべき社会インフラであるロボットの移動手段として最も効率的なのは、二足歩行でもドローンでもなく、少なくとも現時点では車輪だということを示唆しているように思えるのです。

二足歩行や四足歩行はある分野では研究する価値のある高度な技術ですが、インフラ化にはエネルギー効率を無視できません。
バリアフリー化はヒトにとってもロボットにとっても一石二鳥と言えるでしょう。
バリアフリー化できない場所ではキャタピラでしょうか。

もっとも、車椅子やロボットが共存しているビジョンを今はまだ想像しにくいかもしれませんよね。
シンプルに「スロープは階段を兼ねる」と解釈していただければ。