10/6/2012

『プロメテウス』リドリー・スコットの描くSF神話

久しぶりに映画館に足を運びました。
美しいシーン満載で大好物な映画『ブレードランナー』(1982) のリドリー・スコット監督が、その前作『エイリアン』(1979) の前日譚を自ら撮ったとなれば期待は弥が上にも高まります。
劇中の架空の企業Weyland Industriesのサイトやガイ・ピアース演ずる創業者のTED TalkSNSをフル活用した宣伝にも興味をそそられました。

以下ネタバレというほどでもないですが、必ず観に行くぜ!という方は読まない方がいいかも。

映画の冒頭の方で、コールドスリープしている乗組員達を見守りながらアンドロイドが独り宇宙船内で生活している描写があります。
スポーツしたり、学習したり、映画を観たり。
その映画が『アラビアのロレンス』なんですね。それで、ピーター・オトゥールの台詞を真似たりしている。
これは、傑作の予感?!

prometheus_screencap5

と思いきや、残念ながらそうでもありませんでした。
映像はそれなりにいいのですが、脚本が穴だらけなのです。

歴代エイリアンシリーズと比べると、1のような怖さがなく、ジェームズ・キャメロンの2のようなアクションもカタルシスもありません。
つまり娯楽映画ではないです。
べつに娯楽映画でなくていいのですが、では突出した映像美やドラマがあるかというと、そうでもありません。
水色の瞳に炎が映り込んだりスローモーションでユニコーンが駆けたりはしないんですね(当たり前)

題名が示す通り、プロメテウスにまつわるギリシャ神話が比喩的なモチーフとなっており、科学技術を発展させた人類が驕り犯した過ち、というようなテーマが感じられます。宇宙船の名前って基本的に意味ありまくりですよね。自ら作り出し、結局手に負えなくなった核のようにも取れます。
テーマの割に説教臭さがないのはいいとして、宗教的世界観を消化できなかったデヴィッド・フィンチャーの3ほど駄作ではありませんが、『レジェンド』で見せたような神話的ファンタジーでもなく、ジャン=ピエール・ジュネの4のような悲しみもない。
ないないずくしになってしまいました。
原因は脚本で、最もいただけないのは各キャラの行動の動機付けについて説得力が不充分な事です。
それにしてもこれは本当にリドリー・スコットが撮りたかったもの、なの??

言いたい事は多々あれどネタバレになりそうのでやめておきます。
映画としてつまらないというわけではなく、いいシーンもあるのですが、エイリアンシリーズとして観ると期待を裏切られるかもしれません。
‎3Dに関しては、料金の高いIMAX3DじゃなくてもRealDで充分な印象でした。

!ネタバレし過ぎな予告編

全く余談ですが個人的に、折りたたみ椅子のデザインと車椅子のデザインが進化してなくて未来っぽくないのが残念でした。
製作費はリドリー・スコットが求めていた2億5千万ドルの約半分とはいえ、『エイリアン』より遥かに高額の1億3千万ドルをかけながらこれは…おそらく予算の大半は宣伝費なのかも。

勝手な事ばっかり書いてゴメンナサイ。あとついでに、デート向きじゃないよ〜。



Comments (3) SF 映像・映画 Tags: — Kyo ICHIDA @ 2012/06/10 04:25

3 Responses to “『プロメテウス』リドリー・スコットの描くSF神話”

  1. ポルトガル・青目 10/6/2012 at 3:55 PM

    おぉ・・・久しぶりに覗いたら・・・映画に行った・・・なぜか、うれしい。
    映画は多分見ないと思うけれど・・・このデービットを一台?買いたい・・・。
    ちょっと場所を取りそうだけれど、折りたためる?アマゾンでいいのかな・・・。

    今年初めて、船で対岸の島に渡りました・・・まだ寒い・・・夏はどこだ?の南ポルトガルです。

  2. kyo 10/6/2012 at 6:53 PM

    青目さん、南ポルトガルまだ寒いのですね。こちらも微妙な天気が続いております。

    青目家にデービッドが・・・想像しただけで面白いです!
    上手に活用しそう・・・笑

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