たくさんの挨拶

リュクサンブール公園近くにあるひと部屋の小さなアパートから、
モンパルナスタワーそばの仕事場まで、
ヨメのわびすけに車いすを押してもらって、だいたい15分弱の道のりです。

途中、近所の中華料理店の前を通るとき、
お店の人が僕たちに気付くと手を振ってくれます。
僕たちも店内に向かって手を振ります。

もう少し行くと花屋さんが2軒並んでいます。
この2軒は互いに安さを競っていて、
薔薇50本で12ユーロ(だいたい1600円くらいです!)
花束5つで10ユーロ(計算してみてください)とか凄いことになっています。

大通りに出るところで顔馴染みのクレープ屋台のおじさんと挨拶します。
夏は暑く、冬は寒そうな屋台です。

大通りの緩い坂を上っていくと、レコード店の前に
ホームレスのロラン爺さんとねこのマムーが座っています。
ロラン爺さんとよもやま話をする間、わびすけはマムーと遊んでいます。

坂を上りきるとケバブ屋のおじさんと挨拶します。
「テイクアウト?まぁそう言わずに店で食べていきなよ」
というのがおじさんの口癖です。

仕事場があるビルの前の広場に来ると、
決まってカフェのギャルソンが「調子はどう?」と声をかけてくれるので、
いつものように「いいよ!」と応えます。

オフィスビルのエレベーターで知らない人と乗り合わせると、
やはりお互い挨拶します。乗るときには「こんにちは」
降りるときには「良い1日を!」

こうしてたくさんの挨拶を経て1日の仕事が始まるのでした。

帰りにはときどき、さっきのカフェでビールや
パスティスを飲んでいくこともあります。
飲酒運転を咎められないのが車いすのいいところですね!

2004/04/20