隣り合うのも大きな縁

ネットがなかったときは、当然ながら自ら出かけて行って 友だちを見つけなければなりませんでした。

その頃の出会いをひとつ振り返ってみたいと思います。

昔、留学時代のある寒い午後、
僕はパリ大学のフランス語講座のクラス分け試験会場が開くのを、
大勢の外国人学生と一緒に震えながら待っていました。

待ちながら、一人の北欧から来た学生と、
どちらからともなく「今日は冷えるね」なんて話していました。

試験は終わった人から帰っていいのですが、
僕が彼の倍の時間(つまり制限いっぱい)かかって答案を埋める間、
彼は待っていてくれました。
(後で知ったのですが彼はスウェーデンの国費留学生でとても優秀だったのです)

試験から解放された僕らはとりあえずカフェへ避難しました。

話を聞くと、彼は今日ストックホルムから着いたばかりで、
住むところも決まっていないとのこと。
外は既に暗くなってきていました。

「ならうちにおいでよ!」と僕は軽いノリで提案しました。

当時僕はアメリカ人のハウスメートと住んでいたので、
本来なら事前に彼に相談すべきなのですが、
何か直感のようなものがあったのです。

幸いにもそれは当たって、
アメリカ人のチップとスウェーデン人のケネットはすぐに意気投合しました。

こうして出会って数時間で一緒に住むことになったケネットの登場のおかげで、
それまでついつい英語でしてしまっていた日常会話は やっとフランス語に切り替わりました。

そして結局彼らが各々帰国するまで共同生活は続くことになり、
パリでの最も楽しい時期になりました。
そのため彼らが帰国してしまった後は本当に寂しくなってしまったものです。

以前のようには出かけられなくなり(もう若くないこともあって!?)
このような出会いの仕方はなくなりました。

でも悲観しているわけではありません。
今は世界中の距離の垣根を取り払ってくれる便利なネットがあるのですから!

かといって閉じこもってばかりでもいけませんよね、
そんなときはiGLIDEで出かけましょう!

2004/06/15