チップとの再会 |
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朝、電話の音で起こされる。 幸いこの日は特にこなすべき予定がなく、明日のラスベガスへの移動を控えてゆったり過ごすことになっていた。昼前にロビーで集合。SAMさんがマリーナ・デル・レイのレストランでビュッフェブランチを予約してくださっていた。
ゆったりした食後の余韻を味わっていると急に辺りが猛然と騒がしくなった。農協か何かの日本製おじちゃんおばちゃんの団体登場。いや、別に偏見とかじゃないんだけどマリーナ・デル・レイを突然熱海の温泉場に一変させるジャパニーズ団体旅行客のパワーは凄い。そそくさと熱海ブラックホールから脱出する。 ヨットを眺めながらハーバーを散歩。ここにヨットを持つような人たちはいったいどんな生活をおくっているのだろうか? さぞかし優雅なものに違いない。 まっすぐドラムコーナーへ。店員さんからスティックを借りて試奏。アコースティックドラムを叩くのはかれこれ2年ぶり。フロアにはドラムセットが15台くらい組んであり、他にも2〜3人のお客さんが叩いていた。さすがに黒人ドラマーは上手い。ひとりの黒人ドラマーが「もっと手首のスナップを使うといいよ」と気さくにアドバイスしてくれる。サンクス! 以前から持ち運びの楽な軽いスネアが欲しかったのでスネアドラム・コーナーへ。 ラディックの安いものを買うつもりだったのが、DW製品がたくさん並んでいるのを見て気がかわる。ラディック製品は日本でもたくさん見つかるけれどDWを一度にたくさん叩き比べる機会はなかなかない。しばらく叩いて、迷った末少々値ははるけど単板の最も鳴りのいいものを選んだ。 「これかい!ヒュ〜、こいつは超ビューティフルなドラムだよ!」と調子のいい店員。 FEDEXか何かで送ってもらおうと手続きしているとSAMさんがいらして「送料よりケースの方が安いなら持って帰ろうよ」 「いえ、かさばりますし、重いですから送りますよ」 「だいじょうぶだいじょうぶ」 送料は100ドル、ハードケースが50ドルだった。結局お持ち帰りすることに。店員さんが「こっちのケースの方がいいよ、インナークッションあるし」と、よりぴったりなサイズのケースに替えてくれたので気が利くなぁと思ったら何のことはない、実はSAMさんが「そんなぶかぶかじゃなく内側にクッションのあるやつないの?」とつっこんでくださったおかげと後に判明。 「やっぱり物欲ビームでたね」とSAMさんも喜んでくださった。 その後ビバリーセンターという大きなショッピングセンターへ。待ち合わせ時間を決めて各自買い物。トゥイーティーたち満載のワーナーのショップにつかまってしまう。その他日射しの強いラスベガスに備えてサングラスやカジュアルな服、わびすけもバッグ等を購入。ふだん買い物をそれほどしない僕達にとってこの旅では1年分くらい買い物したような気がするといったら大袈裟か。 夕方ホテルに戻ってChipをそわそわしながら待つ。途中彼から電話があり8時頃着くとのこと。15分前にはロビーに降りて待つ。13年の歳月がどんなふうにふたりの間を流れただろうか? わびすけによればChipと僕が話に夢中になっている間、ロドさん達は「なんか、いいよなぁ」と言いながら暖かく見守ってくださっていたそうだ。ひょっとしたらSAMさんもLAに留学していた頃のルームメート達のことを想い出されていたかもしれない。 会話の中でChipが印象的なことを言った。 「遅すぎるっていうことはね、決してないよ」 そのことばは沁みた。今まで「今からそんなことしても遅い」って言われることがずいぶんあったし、自分でも留学していた頃「もっと早く、もっと身体の自由が利いた頃に来ていればなぁ」と常々思っていた。けれどもその後もっと身体が利かなくなったことを考えれば充分「間に合った」わけだしそれでChipとも出会えたのだ。[註3] 「現にちゃんといいタイミングでアメリカに来れて再会できたじゃないか!」とChip。 たしかにその通りだ。時間が経てば経つほど、いつ実現できるか判らない夢のようにさえ思えてきていたChipとの再会を今回果たすことができて本当に良かった。SAMさんはじめこの偶然と幸運をもたらしてくれた全ての人に感謝したい気持ちでいっぱいだ。そして僕同様に彼もこの再会を心待ちにしていたことが改めて判りとても嬉しかった。 つい「あ〜これで思い残すこともないや」とつぶやいてしまったところ「なにユルいこと言ってんだ!」とロドさんに叱られた! |
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