バリアフリーの本場


熱心にロドさんのデジカメを覗き込むおじさん。カメラ好きに違いない。(機内にて)

機内食の時間以外はひたすら寝こけたため機内上映の映画がなんだったかもわからないうちにロサンゼルスの国際空港LAX註1へ到着。現地時刻は午前9時。入国審査を通り荷物が出てくるのを待つ。考えてみると僕は誰かと一緒に飛行機に乗ったことはほとんどなくて、かつては長期滞在の大荷物を詰め込んだスーツケースを自分一人でなんとかしていたのだからよくやってたもんだと思う。逆にそれができるうちに留学しておいてよかった。
とりあえず空港のスターバックスでアイスカフェラテを飲む。お〜、ついに来てしまった!という実感がコーヒーの味とともに湧いてくる。今のうちにと空港のトイレに行ってみる。ひ、広い。車椅子で楽に入れるのはもちろん、頑張れば住めそうな広さだ。いや別にトイレに住みたいってわけじゃないけど。さすがアメリカ、何でもデカいのか。そういえばカフェラテもデカかった。
「空気が乾燥しているから」とロドさんからリップクリームをいただいた。そうこうするうちSamさんが手配しておいてくださったレンタカーが到着。シボレー・ベンチャー、広くて乗り降りも楽。いよいよ出発! Samさんにとって青春の一時期を過ごした場所であり、今も年数回訪れるL.A.を案内していただく。街並はこれまで行ったどことも違っていて初めての場所へ来た楽しさからきょろきょろしてしまう。カーラジオからは懐かしのウッドストックエイジ・ロックの数々。
まずはSAM'S TOURの定番、FRY'S ELECTRONICSへ。体育館か倉庫のような建物に電化製品が満載のマーケット。駐車場には数台分のハンディキャップト・パーキングスペースがあり出入り口にもゆるやかなスロープが。なるほどさすが、と思ったがそんなのはまだまだ序の口だった。
「こっちはね、けっこうそういうところちゃんとしてるよ」「そうそう」Samさんとロドさん。
「何か欲しいものはない?」と僕に声をかけてくださりながら、こちらが答える間もなく店員さんにMac用ペリフェラルはどの辺?と訊ねるSamさんの流暢な英語は店員さんいわく「アメリカ人以上の早口」だ。若い頃LAで超実用的な英語集中講座を受けたからとのことだが、それだけではなさそう。そういえばSamさんはタイピングも凄く速い。情報伝達のためのアウトプットが超速なのだ。
初めてのアメリカだし英語を話すのも数年ぶり。はたして通じるものかどうか?試したくなり店員さんをつかまえてわけのわからないことを聞きながらデジカメ用64MBコンパクトフラッシュメモリとホィール付きUSBマウス、Samさんお勧めのクラプトンのDVD等を購入。SamさんはDVD数枚の他にトランシーバー2台ひと組充電器付きを2セットを購入。
「これで広いNAB会場でもノー問題!」

ホテルにチェックインする前にマンハッタン・ビーチの海岸へ。潮風が心地良くて、もう完全に非日常モード。
「クラムチャウダーでも食べよう」ということになってその辺のレストランに。坂の途中にある店なので店内には随所に少しづつ階段がある。ここはさすがに車椅子を降りねばと思ったら、数段の階段をパスするためのエレベーターがちゃんとあった!
これにはびっくり。ごく普通の店なのに当たり前のようにリフトがあるのか!というかんじ。これも『乙武くんレポート』で紹介していたADA法 [註2] のなせる技なのだろうか? けっこうカルチャーショックを受けた。
片手で持ったスプーンとフォークを器用に操り料理を取り分けてくださるSamさん. その後もどこへ行ってもそうなのだが車椅子でお店に入っていって店員が戸惑いの表情を見せることなど全く無いし、気まずい思いをするようなシチュエーションも皆無だった。

昼食後車はロデオドライブへ。映画『プリティ・ウーマン』の舞台になったホテルや有名ブティックの並ぶ街並を眺める。品揃えの豊富なワイン店でロドさんお土産用にワイン3本を購入。NAPA VALLEY, SILVER OAK。
「持って帰る前に飲んじゃうかもしれないなー」と嬉しそう。
この後 Beverly Hilton にチェックイン。このホテルのエントランスはテレビか何かで見覚えがある。CSNムービーチャンネルとかのプレミアショー中継に出てきそうだ。夕食まで部屋でひと休み。Samさんの手配しておいてくださった部屋はバスルームの各所に手すりがあり、入浴用の椅子も備わっていた。数々のご配慮に感謝。
さっそくメールをチェックして返事を書く。そうこうするうち集合時間になった。
夕食は人気のステーキ店 MORTON'S。この店は注文を取るのに食材を見せながら説明してくれる。ウェイターのおじさんが肉の説明をしていると、ワゴンのでっかいロブスターが必至で逃げようとしている。ついにワゴンからボテッと落っこちるもすぐさまおじさんに捕まってしまい再びワゴンへ。また逃げだそうとする。う〜ん活きがいい。


Samさんの秘技、スプーンコアラ(と勝手に命名).皆で真似してみたのですが誰にもできませんでした.

出発前T嬢から「ツアーの参加者は確実に体重が増加します」と聞いていてはいたものの、予想を上回る量の料理が目の前に運ばれてくる。脱走ロブスターくんもしっかり並んだ。 僕は食べ物を残すのが苦手なたちだけど、そんなことを言っていては身がもたないことをすぐに悟る。
Samさんの選んだワインはNAPA VALLEY Cabernet Sauvignon 1996年のもの。超美酒! 
それにしても肉が美味しい。日本だとやはり和牛が最高で、米国産輸入牛肉はイマイチなイメージがあるけれどなかなかどうして、というかここの肉は全然違った。
夕食後Virgin MEGASTOREに寄っていただきホテルへ戻ったのが夜12時近く。 初日の結論は「さすがアメリカはバリアフリーの本場だ」ということに加え「アメリカの肉はあなどれない」と「カリフォルニア・ワインはあなどれない」でした。

註1 ちなみにロスの空港と宮崎の空港は景色がよく似ているという噂.って別に註釈をつけるほどのことではないんですが.
LAXは“ラックス”ではなく“エルエーエクス”というふうに言わないと通じないそうです.
註2 Americans with Disabilities Act(障害を持つアメリカ国民法)1990年成立.
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